9月1日 曇り一時雨
西から時折吹き込む風が、秋風のような9月の始まりでした。
栂(つが)の無垢材で窓枠を組み立てています。
加工場で一枚の板からそれぞれの形に加工して鉋(かんな)をかけて(削って)造作材が完成します。
それを現場で墨付けをして刻み、取り付けます。
大手のハウスメーカーさんや現在では半数以上を占めると思われる個人経営の大工さんでも、既製品の造作材を多用していると思われます。
床板や幅木(はばき)や廻縁(まわしぶち)をはじめ、窓枠や建具枠、いまでは建具ですら “商品” としてダンボールに梱包されて現場に届き、大工が組み立てます。(物によっては説明書を読みながら…)
そのような新建材と呼ばれる商品に多く使用されているのが、MDF(中密度繊維版)と呼ばれる素材です。
木材チップなどの木材繊維に合成樹脂(接着剤)を加えてできる成型板で、表面にはさまざまな表情を持つシートが貼ってあります。
そんな時代の趨勢ですが、自分たちはあまり好みません。
もちろん、全く使わないということはありませんが、使わないように心掛けています。
その理由はひとつ。 商品は開封したときが輝きの頂点であって、大工の加工した無垢材は取り付けたときが輝きのスタートであること。
新建材と無垢材。 経年変化の意味が180度、異なります。
雑巾掛けが行き届いた廊下が美しいように、柱の背比べの傷がいとしいように、経年変化を愉しめる手仕事をこれからもしていきたいと思います。